「          」





嘘吐き。
本当は何とも思ってないくせに。
それでも、
それでも俺は…。
その言葉が戯れだと解っていても
その言葉を信じたくなってしまう。
あぁ、
いっその事
あの時ローレライと供に消えてしまえば
こんなに苦しい想いをしなくてもよかったのに・・・




2人で還ってきて半年。
バチカルで盛大な結婚式が行われていた。
深紅の髪の青年の横で嬉しそうに観衆に手を振る金の髪の女性。
解ってはいたことだけど幸せそうな2人を見るのが辛くて俺はそっと会場を抜け出した。



誰にも気づかれないようにファブレ邸の自室に入ると窮屈な正装を緩めベットに腰をかけた。
たった数十分しか顔を出していないのに酷く疲れた気がする。
「綺麗だったな…」
何気なく呟いた言葉。
産まれたときから決められていた事なのに。
それなのにどうしてこんなに苦しいのか。
幸せそうな2人。
きっとどこから見ても理想の夫婦だろう。
醜い嫉妬心に苛まれそうになってルークは目を瞑った。






いつの間にか眠っていたようだった。
夕焼けの紅い光が部屋に差し込んでいる。
起き上がろうとして自分の手が握られていることに気づいた。
眼をやるとそれに気づいた彼が微笑んだ。
普段の彼からは想像もつかないような柔らかい笑み。
「い、いるなら起こしてくれればよかったのに」
何だかこっちが恥ずかしくなって少しどもるとまたさっきのような笑みを浮かべられた。
「しばらくはお前に逢えないからな」
「何言ってんだよ」
「お前のことだろうから別れようとかそういう事を考えてるんだろうが生憎俺はお前を手放す気なんてこれっぽっちもないからな」
「そんな事言うなよ…。ナタリアを大事にしろ」
そう告げるとアッシュは少し傷ついたような顔をした。
「ルーク・・・」
変わらない彼の優しい声。
黙っていると不意に背後からアッシュに
抱きしめられる。
「アッシュ・・?」
「しばらくこのままでいさせてくれ…」
穏やかな声。



「愛してるんだ、ルーク」



その言葉だけが俺をこの世に縛り付ける。



「知ってるよ…」



否、その言葉に縋り付いているのは俺自身なのかもしれない。



嘘でもいい、

俺を、俺だけを見つめてくれる日が何時か来るのであれば。





結局囚われているのは俺の方なのだ。








なんだこれ。
ルク→←アシュナタなのか・・・。
書いてるうちにだんだん最初の設定とずれてきたYO