それは
   たぶん癒し
















静かな夜は限られた逢瀬の時間。
逢えない時間を埋めるように抱きしめあい唇を合わせる
アッシュはルークの白く引き締まった背中を撫で下ろし双丘の奥まった場所に指を無遠慮に潜り込ませた。
「っあ・・・・・」
微かに身体を震わせてアッシュに縋るようにルークは手を伸ばした。
その手を掴み指を絡めとると窄まりに埋め込んだ指で内壁をなぞっていく。
より一層激しく長い指に掻き混ぜられるとルークは大きく仰け反り、呑み込んだ指をさらに奥深くまで誘うように何度も締め付けた。
「アッシュ・・・早く・・・」
「もう少し我慢しろ。傷がつく」
いつの間にか二本に増えた指が内壁を突き、その動きに合わせて欲望の涎を流すルーク自身を扱きあげる。
「っあん、あ・・・」
前後から与えられる刺激にルークは耐えられなくなり、一気に頂点へ駆け昇っていく。
満たされて、溢れて・・・。
「あぁぁぁっ・・・!!」
ルークの迸りがアッシュとルークの腹を汚していく。
力の抜けたルークの身体がアッシュにもたれ掛り、荒い呼吸を整えると切なげに眉根を寄せて耳元で囁いた。
「・・・もう、いいよね?早くアッシュのちょうだい」
「ああ・・・ルーク。くれてやるよ」
興奮で震えそうになる声を抑え、ルークのすらりとした脚の膝裏を肩にのせると一気に貫いた。
「あっ・・・!」
程なく上から容赦なく突き上げられ、熱を持った芯が再び涎を垂らしていく。
「・・・あんっ、あぁっ・・・」
ようやく欲しがっていた感覚を得られてルークは恍惚とした表情を浮かべた。
甘い声とその表情に煽られるようにひたすら快楽を追い続けていると、アッシュの長い髪が己の下で悶えている白い身体にかかった。
紅が白に良く映えて扇情的だ。
「ルーク」
「んっ、はぁ・・・ん・・」
全身溶け落ちそうになる快楽をやり過ごそうとするが、一瞬でもそれが止まると悦楽を知った身体はその先を求めてぎゅうぎゅうと締め付ける。
「あぁ、ルーク・・・もっと俺を感じろ」
慈しむような笑みを浮かべたアッシュの眼差しが鋭いものに変わり上から強く突き上げられた。
「あぁっ・・・ゃん・・・・はげしっ・・・・」
ルークは悦楽に潤んだ瞳を薄く開きながらアッシュの背中に爪を立てた。
大きく脚を開かれ、欲望を孕んだ瞳が結合部分を食い入るように見つめられ、熱い猛りが内壁を余すことなく擦り、甘い痺れに身体が震える。
最も弱い部分を強く執拗に攻められ、ルークは背を仰け反らせていく。
「…っ」
くちゅくちゅと濡れた水音が静寂の中に響き、目前の絶頂に思わず叫びそうになった声を慌てて己の指を噛んでやり過ごす。
強く噛んだせいか口の中に広がる血の錆びた味。
それに気づいた自分を抱く男がやんわりと手を退けさせて傷口を癒すかのように口付けた。
「声をだせ」
低く耳元で囁かれた声に全身を震わせながら、イヤイヤと必死に首を振る。
「俺以外誰も聞いてねぇから」
そうして再び最奥を犯し始めた男にもはや声を抑えることなんて出来ず、口の端から涎を流しながら喘ぎを漏らす。
「ひっ!うぁ、あはぁっ・・・・・・!」
アッシュは更に腰を激しく打ち付けると、小刻みに震える身体を追い立てるようにルークの最奥に己自身を突き入れた。
「あっしゅ・・・!・・・・もう、だめぇ、いっちゃうぅぅ・・・・・・!」
「ルークっ、俺も・・・!!」
二人は同時に欲望を放つと、シーツの上に崩れ落ちた。
心地よい倦怠感に包まれた腕をなんとか動かして身体を拭い終えるとアッシュの肩口に甘えるように擦りよって頭を落ち着けた。
「・・・俺、こんなにシアワセでいいのかな・・・」
自分とはやはり違う逞しい胸板にのせてあったアッシュの掌を自分のそれで絡めとりながら、ルークは小さな声でポツリと呟いた。
「どうした急に」
「ん・・・。俺、たくさんの人に償わないといけないの分かってはいるんだ。眠るたびに夢に出てきて。怖くて、痛くて・・・」
静かに目を伏せながら独り言のように呟くルークの朱の髪を撫でながらアッシュは黙って聞いている。
「やっぱり甘えてちゃダメだよね。アッシュがすごく優しくしてくれたから俺は・・・っわ!」
勢い良く起き上がったアッシュのせいでルークはシーツの上に転がり落ちて批難のまなざしを向けると逆に憤怒の双眸に捕らえられた。
「お前は!いいかげん卑屈になるのはやめろ!!」
そうして下りてきた口付けはその怒りに反してひどく優しく、ちゅっちゅと音を鳴らして啄ばんでいく。
「お前が俺の孤独を癒してくれたように、俺がお前を癒してやる。だから、もう、そんな事は言うな。たとえこの身が無くなっても俺はお前を絶対に離さねぇ!」
その言葉に目を見開いたルークの翡翠の瞳からポロリと雫が流れて。

「 うれしい 」

はにかむように微笑ったルークは本当に綺麗で。
瞳から零れる涙を指で掬い、静かに唇をあわせた。





たとえ二人を別つ事があっても決して―――






                                            09/06/10

アシュルクて報われてないよね・・・。