何時ものように朝の弱いルークを起こしにルークの泊まる部屋の扉を盛大に開け放ったところでガイは固まった。
何でこいつが此処にとか何時からいたのか悶々と考えたような気がするがとりあえず何時ものように普通に挨拶をしてしまった自分が憎らしくなってきた。
「…おはよう、アッシュ」
「……あ、あぁ」
どうやら相手も固まっているらしく、ルークより幾分か低めの声が若干上ずって聞こえた。
よくよく見ると風呂から上がった直後らしくアッシュは黒いズボンを穿いているのみで洗いたての髪からは水滴がポタポタと床に染みをつくっている。
「…」
「……」
何か話さないといけないのだが言葉が出てこない。
気まずい空気の中沈黙が続く。
やや挙動不審気味にガイは視線を動かすと部屋の真ん中あたりに配置されているベットが目に入った。
ベットの上で丸まったように寝ているらしいルークの膝から下の素足の一本が毛布からはみ出している。
なんだか艶かしく見えるソレに思わず唾を飲み込んだ。
それと同時に部屋にうっすらと残る不穏当な匂いを鼻が拾ってしまいますます気まずくなった。
あぁもういやだとにかくこの際アッシュでも誰でもいいから用件を伝えてさっさとこの部屋から出て行きたい、と心底そう思ったガイは意を決して口を開く。
「もうそろそろ出発したいからルークを起こしといてくれ」
「…分かった」
それだけ伝えるとアッシュの顔を見ることなくガイは踵を返した。