アクゼリュス崩壊後仲間から抜けて一人旅設定。
ちょっと病んでるくさい。











Forgive what I have been



「・・・っ」
みぞおちを手で押さえて、ルークは付近にある木にもたれ掛った。ぎゅっと絞るような痛みが波のようにあらわれてはすっと消えていく。
辺りを確かめて、誰も居ない場所でよかったと意識の隅で思った。
超振動でアクゼリュスのパッセージリングを壊し、皆から捨てられた頃から、小さくうずくような痛みを覚えた。
毎夜続く悪夢からか最近では睡眠すらほとんど取れずに食欲も落ちてきていた。
「不摂生はするもんじゃないなぁ・・・」
一人ごちて目を閉じる。
こんなになってまでどうして自分は生きているのか疑問すら感じる。
人として扱ってもらえない人形。
好きで生きているわけでもないのに死んでしまえとさえ言われた。
では自分は何の為に生きているのかと逆に問いたくなる。
自問しても答えが出るわけでもなく。
そよそよと柔らかい風が吹きぬける。
広がる草の葉がかすかに揺れているだけでただ静かだった。通りかかる人も、野生の魔物さえいない。
少し、本当に少しだけ今なら眠れそうな気がした。
誘われるように草むらに横になる。




「おい」
声をかけられるのと同時に揺さぶられ、ルークは目を開く。
視界はやけにぼんやりとしていて、最初傍に居るのが誰だか、分からなかった。
「大丈夫かと聞いてるんだ、返事しろ、屑が!」
耳元で怒鳴られて、ようやく焦点が合う。
間近にアッシュの顔があった。気のせいかずいぶんと青ざめて、けれど目が合った瞬間ほっとしたように息を吐いた。
「ああ、別に何ともない」
アッシュに会うのはユリアシティ以来だった。いつもの教団服を身に纏い、アッシュはそこにいた。この場所に何か用があるというわけでもなさそうだ。
「一人で何をしている。あの連中はどうした?」
アッシュは憮然として畳み掛けるように質問を重ねる。
「連中・・・?あぁ、俺はもう要らないみたいだからさ・・・」
目頭を押さえて、ルークは身体を起こした。
「ここ静かで気持ちよくて、ついうとうとしちまったみてぇ」
そのまま立ち上がる。寝入ってどれくらいの時間が過ぎたのだろうか。青空が広がっていたはずの空は.、いつ雨が降ってきてもおかしくないくらいにどんよりとしていた。
「馬鹿かお前は!いつ魔物が出てくるかわからんようなところで、一人でついうとうとなどと。どういう神経をしている!!」
アッシュの意外なまでの剣幕に眠気が一気に引いた。
「何をそんなに怒ってるんだ?レプリカなんて死んでも構わないだろ?アッシュだってそう、思っているだろ?」
「何を・・・」
「だって、皆がそう言うんだ。死んでしまえって。じゃぁ、なんで俺は生きているんだ?何の為に・・・?なぁ、アッシュは俺が殺したいくらいに憎いんだろ?だったら殺してくれよ。今すぐ、ここで」
まっすぐに見つめてくる翡翠の瞳は哀しくなるくらい綺麗で、けれども淀んでもいて。
死を渇望している子供は今にも消えてしまいそうで。生まれて7年しか生きていないこの子供を酷く傷つけてしまったことにアッシュは今更ながらに後悔する。
「すまない・・・」
抱きしめて腕の中に閉じ込めればその身体はビクリと強張って。
けれど不思議そうにアッシュの瞳を覗き込んで。
「なんでお前が謝るんだ・・・?」
問えど返ってくるのは謝罪の言葉ばかりで。
「なぁ、アッシュ・・・?」





壊れてしまったのは彼の心。