「アッシュ・・・」

たまたま立ち寄ったケセドニアでアッシュはルークに呼び止められた。
いつもならレプリカの事など無視して立去ってしまうくらい別段仲が良いわけでもないのだが(だからといって悪いというわけでもないが)、この時は呼び止めに応じてしまっていた。
気のせいかルークの顔が幾分か憔悴しているようにも見えた。
「何か用か、レプリカ」
「それが・・・」
何だか言いにくそうに歯切れが悪くルークはそれっきり黙りこんでしまった。
「一体何なんだ。俺はお前みたいに暇じゃねぇんだ。用がないなら行くぞ!」
黙り込んだルークに痺れを切らしてそう言い放つと覚悟を決めたようにルークが話し始めた。


「あのさ、みんな親交を深めるためとか言うから今まで我慢してたんだけど・・・」
一体何の話だ。
つい怒鳴りそうになるのを抑えて続きを促す。
「最初は手を握られたりとかその程度だったんだけど、何か最近尻掴まれたり、胸揉まれたりして・・・」
うんうんとそのまま聞き流そうとしてアッシュは固まった。
「嫌なんだけど、どうしていいか分からなくて・・・ってアッシュ?」
聞いてる?と問いかけられて固まったままのアッシュはようやく我に返った。
「なぁ、助けてくれよ。こんなこと相談できるのアッシュしか居ないんだ・・・」
涙目でこちらを見つめてくるその姿は己のレプリカとは思えないほど殺人的に可愛らしかった。
心臓にハートの矢が刺さった瞬間である。
つまり惚れてしまったのであった。
アッシュは惚れた弱みか助けてと乞われるままルーク達の泊まる宿へと足を踏み入れた。



宿の一角でティータイムを楽しんでいたナタリア達はルークがアッシュを連れて宿に帰ってきたことに驚いた。
眉間の皺5割り増しのアッシュは何だか凄みがある。

「てめぇら!俺のレプリカに好き放題してるらしいじゃねぇか」
腐っても六神将。その声は荘厳としていて楽しくティータイム中だった彼らを一瞬にして震えさせた。
「だって〜」
アニスが他のメンバーを見ながら語りだす。
「ルークってばさわり心地がいいんだもん☆」
「そうそう、敏感だし」
触ったときの感触でも思い出したのだろうか、ガイはニヤけていてはっきり言ってキモイ。
「人と触れ合うことに慣れてないようですし調教のしがいがありますしね」
さらりと危険な発言を投下するジェイド。
「露出がしてる部分多いからつい触れたくなっちゃうのよ」
とはティア。
「そうですわね、触るたびに「ひゃぅっ」などと言われてしまってはもっと啼かせてみたいと思ってしまいますものね」
「押し倒して啼かせた〜い」
勝手に盛り上がっていくルークの仲間達。
ナタリアだけはまともだと思っていたのにナタリアの危険極まりない発言を聞いてアッシュは過去一度でも好きだと思った自分を呪った。
ルークはというとすっかり怯えてしまってアッシュの背中に隠れてしまっている。
こいつの仲間はどうしてこう揃いも揃って変態(?)なのだろうか。
そう思うとアッシュはルークが憐れになってきた。
このままでは己の愛しいレプリカの身が危険だ。
そうして、いまだに背後に隠れているルークを見やって、極めて珍しく穏やかな声で皆がいる前にもかかわらずアッシュは高らかと宣言した。
「大丈夫だ、ルーク。お前は一生俺が守ってやる」
「アッシュ・・・!」
そのプロポーズめいた言葉にルークはすっかり惚れてしまったらしく目がハートだ。
「とにかく、てめぇら俺のレプリカに指一本でも触れるなよ!」
「アッシュ・・・vvかっこいい・・・」
「「えぇ〜!!」」
不満をそれぞれに漏らすも、なんだか周りを他所に二人はすでに違う世界へと飛び立ってしまっていた。

「俺、料理上手くなったんだ。今度アッシュにも食べさせてあげるね」
「あぁ。だがお前を先に喰わせろ」
「やだぁ〜、もぅアッシュってばvv」
そうして二人ルークの泊まる部屋へと消えていったのであった。




終わってしまえ

いかん、途中で力尽きた・・・orz